良い眼鏡は「音」と「感触」で分かる。見えないパーツに宿る、蝶番(ヒンジ)のロマン
こんにちは。
最近、ファッション業界のトレンドとして「クワイエット・ラグジュアリー(静かなる贅沢)」という言葉をよく耳にします。 わかりやすいブランドロゴを全面的に出すのではなく、素材の上質さや、仕立ての良さといった「本質」にこだわるスタイルです。
実は、私たち眼鏡の世界にも、その「静かなる贅沢」を象徴するパーツがあります。 それが、フレームのフロントとテンプル(つる)をつなぐ関節部分、「蝶番(ちょうばん/ヒンジ)」です。
本日は、普段あまり注目されることのない、しかし眼鏡の寿命を決めると言っても過言ではないこの小さなパーツについて、少しマニアックなお話をさせてください。
■ 3枚、5枚、そして「7枚」の違い 一般的なカジュアルな眼鏡の多くは「3枚蝶番」が使われています。少し良いもので「5枚」。 噛み合うコマの数が3つか、5つか、という違いです。
しかし、弊社コレクションをはじめとする多くのモデルでは、さらに上を行く「7枚蝶番」をよく採用しています。
指を組んだ手を想像してみてください。 浅く組むよりも、指の根元まで深く、多くの指を交差させて組んだ方が、ガッチリと外れにくくなりますよね? 蝶番もそれと同じです。コマの数(枚数)が多ければ多いほど、接触面積が増え、摩擦力が安定し、上下へのブレや型崩れに圧倒的に強くなるのです。
■ 「音」と「抵抗感」を楽しむ では、なぜ7枚蝶番が良いのか。それは耐久性だけではありません。 店頭でぜひ体験していただきたいのが、テンプルを畳む時の「感触」です。
安価なフレームが「パタン」と軽く閉じるのに対し、7枚蝶番のフレームは、なんというか…「ヌゥ…ッ」という、適度な抵抗感(トルク)を感じながら動きます。 緩みが出にくく、いつまでも滑らかな開閉が続く。

高級車のドアが、重厚な音を立てて隙間なく閉まるあの感覚に似ているかもしれません。 耳元で蝶番が動く音を聞こうとしても、ガタつきの音はしません。ただ、精密なパーツが噛み合って動く静寂があるだけです。これこそが、大人の所有欲を満たす「確かな品質」の証だと私たちは考えています。
■ 良いものを、長く使うために 当然、パーツが増えれば製造コストは上がりますし、職人の調整技術も必要になります。 それでも私たちが7枚蝶番(やカシメ留め)にこだわるのは、「長く愛用していただきたいから」です。
トレンドのデザインを追うのも楽しいですが、 「あ、この眼鏡、なんか作りが良いな」 と、ふとした瞬間に感じられる道具としての信頼感。
METRONOMEやTradをはじめとした、弊社の眼鏡を手に取った際は、ぜひ一度テンプルをゆっくりと開閉してみてください。 その指先から、私たちが込めたこだわりが伝わるはずです。