メガネが壊れたとき、最初にやってはいけない6つのこと
福井県鯖江の工場で、毎日メガネの修理をお受けしています。他社ブランドのものも含めて、いろいろな状態のメガネが届きます。
その中で、時々こういうものがあります。
壊れたときのままなら直せたのに、直そうとした跡があるせいで直せなくなっている。
お客様に悪気はまったくありません。むしろ「なんとかしよう」と思ってくださった結果です。ただ、メガネは思っているより繊細で、良かれと思ってやったことが致命傷になることがあります。
壊れてしまったときのために、やらないでいただきたいことを6つ、理由と一緒にお伝えします。
1. 瞬間接着剤で固める
いちばん多く、いちばん惜しいのがこれです。
折れた金属パーツは、レーザー溶接で元通りに近い強度まで戻せることがあります。ところが接着剤が入っていると、溶接ができません。接着剤の成分が溶接面に残っていると金属同士が正しく溶け合わないため、まず接着剤を完全に除去する工程が要ります。削り落とせる範囲なら追加の手間で済みますが、隙間の奥まで流れ込んでいると、そこはもう溶接できません。
プラスチック(アセテート)の場合はさらに厄介で、瞬間接着剤が触れた面は白く濁ります。この白化は磨いても取れません。
折れたら、そのままにしておいてください。それがいちばん直る確率が高い状態です。
2. 合わないドライバーでネジを回す
ネジが緩んだとき、家にある精密ドライバーで締めたくなります。
メガネのネジは非常に小さく、頭の溝も浅いです。サイズの合わないドライバーを使うと、溝が潰れます。潰れたネジは、回すことも抜くこともできなくなります。
こうなると、ネジを破壊して取り除く作業になります。丁番(ちょうつがい)の穴を傷めずにこれをやるのは難しく、最悪の場合は丁番ごとの交換になります。ネジ1本の話が、部品交換の話に変わってしまいます。
ネジが緩んだだけなら、修理としては軽いものです。触らずにお持ちください。
3. 自分で曲げて調整する
「少し歪んでいるから戻そう」と手で曲げるのは、いちばん危険な行為かもしれません。
金属フレーム、特にチタンは、曲げ戻すたびに金属疲労が蓄積します。その場は直ったように見えても、次に同じ場所が折れます。しかも折れる場所は、たいてい曲げた場所です。
プラスチックのフレームは、常温で力をかけると割れます。店で調整しているのを見て簡単そうに思えるのは、適切な温度に温めてから、適切な場所を、適切な方向に曲げているからです。
4. ドライヤーやお湯で温めて曲げる
3を知っている方ほど、これをやってしまいます。
温度管理が非常に難しいです。温度が足りなければ割れますし、上げすぎるとコーティングが剥がれます。レンズが入ったまま加熱すると、レンズのコートが白く曇ることがあります。この曇りは元に戻りません。
フレームは直ったけれどレンズを買い直し、という結果になりがちです。
5. 折れた破片を捨てる
小さな部品が取れたとき、「こんなもの使わないだろう」と捨ててしまう方がいます。
破片は、あればあるほど直る確率が上がります。元の部品を溶接で戻せれば、色も形も元通りです。破片がないと部品を作り直すことになり、費用も期間も大きく変わりますし、古いモデルでは再現できないこともあります。
床に落ちた小さなネジや、砕けた鼻パッドの足まで、見つかる限り集めて一緒にお送りください。
6. 外れたレンズを押し込む
レンズが外れたとき、指で押し込みたくなります。
フチのあるフレームは、押し込む力でリムが広がったり、レンズの縁が欠けたりします。ナイロール(上半分だけフチがあり、下はナイロン糸で吊っているタイプ)は、糸が伸びていたり切れかけていたりすることが原因なので、押し込んでも留まりません。無理をすると糸が完全に切れます。
外れたレンズは傷がつかないよう、柔らかい布や袋に別で保管してください。

壊れたら、まずこれだけ
やってはいけないことの裏返しです。4つだけです。
- これ以上さわらない。壊れたときの状態が、いちばん直る状態です
- 破片を全部集める。小さいものほど大事です
- 柔らかい布や袋に入れる。壊れた面同士が擦れないように
- 写真を撮っておく。ご相談のとき、話が早く進みます
直るかどうか分からなくても大丈夫です
「これは直るのか」「いくらかかるのか」が分からない状態でご相談いただいて構いません。
当店の修理は、0円でお受けして、現物を拝見してからお見積もりをお送りします。金額を見てから、直すかどうかをお決めいただけます。他社ブランドのメガネもお預かりしています。
鯖江の自社工場で、レーザー溶接、再メッキ、クリングス(鼻パッドの足)の交換まで対応しています。
レンズだけを入れ替えたい場合は、レンズ交換から承っています。他店・通販でお買いになったメガネでも構いません。