なぜ、彼だけが「開かずの扉」を開けられるのか? デザイナー・岩本美生、その「血脈」と「デッドストック」の秘密。
以下、岩本からのメッセージです。
「今週末、2月14日・15日。東急プラザ表参道原宿(オモカド)で開催される『LOCUL MARKET』。正直に言います。私、岩本は残念ながら会場には行けません。 ですが、『私の分身』とも言える秘蔵のコレクションを、会場に送り込みました。
なぜ、自分が不在のイベントに、そこまで大切なアーカイブを託すのか? それは、このイベントを作っている『場所』と『人』が最高だからです。
会場であるLOCULを管理し、3月で異動してしまう伊藤さん。 彼が作り上げてきた、あの商業施設とは思えない自由でクリエイティブな空気感。私はこの『LOCUL』という場所が大好きでした。 だからこそ、伊藤さんがいる最後のタイミングで、私も中途半端な真似はできません。ビジネスライクな出店ではなく、『信頼の証』として。
私が普段、デザインの研究用として鯖江のファクトリーから個人的に集めていた『保存用アーカイブ』。その封印を解き、伊藤さん、そしてTOKYO OPT.のスタッフに託しました。私が会場にいなくても、この眼鏡たちが全てを語ってくれるはずです。
本来なら私が店頭に立ち、眼鏡の変態的なディテールについてお一人ずつ30分は語り尽くしたいところですが、今回はそれが叶いません。 代わりに、すべての箱に私直筆の『ポストイット』を貼っておきました。『なぜこの年代がすごいのか』『どこのパーツに職人の魂が宿っているのか』。 綺麗なポップではありません。ただの走り書きのメモです。字は相当汚いです。NYCのコレクション時代より酷い。ですが、それは私の研究ノートの切れ端そのもの。私が不在の分、このポストイットが私の代わりに熱弁を振るいます。ぜひ、展示を見ながら私の『独り言』も読んでみてください。
そしてもう一つ、スタッフに『伝言』を預けています。 当日は『CLUÉL』のスナップコンテストが行われるそうですね。FUDGEやCLUÉLを愛する皆さんのスタイリングは、眼鏡が決まればもっと完璧になります。 そこで今回、特別に許可を出しました。スナップ撮影の際、『この眼鏡を掛けて写りたい』という方がいれば、遠慮なくスタッフに声をかけてください。 購入前であっても、撮影の瞬間だけ私のアーカイブを貸し出します(試着OK)。 現行のピカピカした眼鏡では出せない『古眼鏡の重み』を、スナップに焼き付けてください。どうせ撮られるなら、最高に格好つけてほしい。それが私の願いです。
最後に、一番大事なことを。価格設定についてスタッフにこう厳命しました。
『近くにある、あの高級ヴィンテージ店の1/5から1/10の値段で出せ』と。
表参道や中目黒でヴィンテージ眼鏡を買えば、数万円から数十万円するのは当たり前です。もちろんそれだけの価値はあります(多分)。ですが、今回は『祭り』です。これからスタイルを作っていく若い世代に、ビビりながらショーケースを眺めてほしくない。『本物を、古着のTシャツを買う感覚で手に入れてほしい』。
正直に言えば、これだけの物量を揃えられる彼なら、『東京一のヴィンテージ・デッドストック専門店』を開業することだってできるはずです。でも、彼はそれをいまだに、頑なにしようとしません。 彼はあくまで眼鏡デザイナーであり、これらは彼にとって『売るための在庫』ではなく『未来を作るための資料』だからです。
これはビジネスではありません。LOCULという最高の遊び場への、私なりの『振る舞い酒』です。転売目的の方はご遠慮ください。本当に掛けたい人の手に渡ることを願っています。」
では、本編、ご紹介いたします!
【なぜ、彼だけが手に入れられるのか?】
一介のデザイナーが、なぜメーカーすら持っていない「歴史的デッドストック」を保有しているのか? その答えは、岩本の「出自」にあります。
実は、彼の叔父はかつて福井市で眼鏡工場を経営していました。
岩本の青春は、高校の教室ではなく、ギターとバイク、美容室とセレクトショップ、そして粉塵にまみれた工場の床。高校時代から叔父の工場でバフを掛け、組み立てを行い、職人の背中を見て育ちました。
【指示書ではなく、信頼で動く】
今も彼は必ず「現場」に足を運びます。日本、中国、ベトナム、韓国、ジュラ、ベルーノ問わず。
職人と膝を突き合わせ、納得いくまで機械の前を動きません。そして、工場の職人たちが作ったものを損得抜きで海外へ売り歩く。その姿を現場の人間はずっと見てきました。 かつて仕事を教えてくれた職人たちが、今では各工場の「社長」や「工場長」となり、「あんたにならあげてもいい」と、重い鉄扉を開けてくれるのです。彼が「身内(ファミリー)」であり、職人を誰よりリスペクトしているからです。
【使う用と、保存用】
岩本には、ギターや車も含め、同じもモノと金さえあれば、気に入ったものを必ず「2つ以上」手に入れる狂気的な収集癖があります。「1つは研究して使い倒す。もう1つは、未来に残す」。 今回放出されるのは、彼が「保存用(コレクション用)」として保管していたアンタッチャブルな方の1本。叔父の代からの信頼と、彼の異常な愛がなければ存在し得なかった「完全なるデッドストック」です。彼がコレクションするヴィンテージギターやアメ車、ドイツ、フランス車が高値で「状態がいい」とされ、仲間内に売れる意味がわかります。全ては1台(1枚)の為に。
■ B&L RAY-BAN "SHOOTER" (Straight Temple / USA Made)
「オヤジ(叔父)がよく、こういう本物の道具を作れって言ってたな」。 通常の縄手(ケーブルテンプル)ではなく、極めて珍しい「ストレート・テンプル」仕様。ヘルメットを被ったまま着脱するためのプロスペック・ギアです。金属の腐食もない完璧なコンディション。
(ちなみに縄手は、岩本が「まだ嫌だ(出したくない)」とのことでした……)
■ RODENSTOCK "West Germany" & MARWITZ Collection
彼が9歳の時に、ニュースで流れた、「1989年のベルリンの壁崩壊」と共に消滅した「西ドイツ」の遺産。
- RODENSTOCK "Exclusiv 790" & "CLAUDETTE": 宇宙開発技術を応用したイオンプレーティングや厚張りのゴールドメッキ。この当時の厚張りメッキを、TRAD by ~でも参考にしてるそうです。
- MARWITZ "Portrait": ドイツの名門。当時の技術を知る職人たちが「お前が持っておけ」と岩本に託した遺産です。
■ Nikon - The Industrial Precision of 80s-90s
「光学メーカーの眼鏡は『正確』だ」。 世界に誇るNikonの80〜90年代アーカイブ。ジウジアーロとも協業したそのデザインは、装飾を削ぎ落とした機能美の極致。岩本の「現場主義」のルーツです。
今流行りのアプローチです、King Gnuの常田さん、菅田将暉さんをファッションアイコンとして見てる方は必見です。
■ 80年代ジャパニーズ・デザインの熱量:KANSAI, NICOLE...
「昔の鯖江と夜の片町は、毎日が祭りみたいだった」
- KANSAI YAMAMOTO (KY-3031): 純正偏光クリップオン付属。
- NICOLE (Model 2604 現:MATSUDA): スチームパンクの始祖。純正クリップオン付属(ほぼ現存しない希少品)。 なぜ岩本が今、世界のクリップオンの最先端を行くのか。その源流がここにあります。
■ Chloe - Folding Aviator
手のひらサイズにトランスフォームする、旅するジュエリー。繊細なメタルフレームでフォールディング機構を実現した、遊び心あふれる逸品。岩本が「構造の面白さ」に惚れ込んだ機能美です。
■ モードの帝王とヴィンテージの原点:YSL, Oliver Peoples
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Yves Saint Laurent:
現在の「Saint Laurent」へリブランディングされる遥か前。モードの帝王、イヴ・サンローラン本人が存命し、その美学が細部まで行き届いていた時代のオールド・アーカイブです。 特筆すべきは、テンプルに施された優雅な**「二股のYSLロゴ」。 岩本はこれを、単なるブランドロゴとしてではなく、「顔の横顔を美しく見せるための完璧なライン」**として研究していました。80年代のパリが持っていた、あの華やかで、どこか退廃的な色気を纏える唯一無二のフレームです。
- Oliver Peoples: 今や世界的なブランドとなったオリバーピープルズですが、岩本が「これこそが原点だ」と断言するのが、かつて福井県鯖江市の「オプテックジャパン」で生産されていた極初期のモデルです。 1920年代〜30年代のアメリカン・ヴィンテージを、当時の鯖江が持つ世界最高峰の技術で「再構築」した、まさに現代クラシック眼鏡ブームのゼロ地点。 繊細な彫金、緻密なブリッジの形状。実は岩本が「俺たちが今やっていることの正解が、すべてここに詰まっている」と語る、教科書のような名作たちです。
【身内スタッフですら「ダメだった」箱】
実は、この発掘劇には続きがあります。リストを整理していたスタッフは、「Jean Paul Gaultier」の一行を見つけて息を呑みました。市場で数十万円する村井時代のスチームパンク期の名作(真貼り、歯車・・・)、しかも台紙付きデッドストックだらけです。
と食い下がりましたが、 「いや、それはまた今度な。」
何枚か、本家のTARTがありました!
それも「今度な。」
・・・
商品は間違いなく彼の手中にあります。いつか彼が「よし」と言うその時まで。震えてお待ちください。
正直に言えば、これだけの物量を揃えられる彼なら、「東京一の眼鏡のヴィンテージ・デッドストック専門店」を開業することだってできるはずです。でも、彼はそれをいまだに、頑なにしようとしません。 彼はあくまで眼鏡デザイナーであり、これらは彼にとって「売るための在庫」ではなく「未来を作るための資料」だからです。
今回のLOCULに並べても恥ずかしくないと判断した、珠玉のコレクションのみを販売します。 今週末、オモカドで「歴史」との出会いを楽しんでください。
我々も頑張って、このようなデッドストックを集める努力を邁進していきますので応援の程、よろしくお願いします!
【商品の状態に関する大切なお知らせ】
今回の放出品は、長年鯖江の工場の奥底や、岩本が所有する倉庫で「保存用」として眠っていた正真正銘のデッドストック(ヴィンテージの新品)です。
そのため、フレームによっては当時のデモレンズすら入っていない、空の状態の商品もございます。これらはあえて手を加えず、発掘されたままの「現状」で販売させていただきます。
「レンズを入れて完成させたい」という方は、ぜひ会場のTOKYO OPT.スタッフ、または皆様が信頼されている近隣の「安心できる眼鏡屋さん」へご相談ください。 どのようなレンズを合わせるべきか、そのフレームの個性を活かすアドバイスは、当日のスタッフが喜んで承ります。
[Event Info] LOCUL MARKET vol.5
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日時: 2026年2月14日(土)・15日(日)
- 11:00~20:00
- 場所: 東急プラザ表参道原宿(オモカド)5F LOCUL
- ※全て一点モノのデッドストックにつき、完売の際はご容赦ください。
- ※スナップ撮影時のご試着も歓迎です。スタッフまでお声がけください。
- ※基本、ケース等の付属がないものがございますが、無いものはTOKYO OPT.の付属品をご用意いたします。
- 商品についてDM、通販は一切行いません。